高齢ワンちゃん、ネコちゃん① ~認知症~
ここ数十年での獣医療の進歩はめざましく、ワンちゃんネコちゃんの寿命は1.5倍ほどに伸びました。人間社会で高齢者問題が叫ばれるようになって久しいですが、ワンちゃんやネコちゃんの世界でも高齢化は進んでいます。
高齢化が進むにつれ、動物病院の診療現場で以前に増して遭遇するようになった病気や症状があります。
ひとつは認知症。ボケや痴呆とも言われるものです。
診察室で飼い主様にこのことについてお話しするとき、犬にもあるんですかと良く驚かれます。しかしヒトと同じ脳を持つ生き物である以上、高齢によるその機能の低下は避けられません。生理的に脳みそが縮んでいくのです。
どういう風になるかと言うと、一か所でくるくる歩きまわったり、無駄吠えをしたり、暗い所へ好んで行ったり、ときには性格が攻撃的になったりと様々です。特にワンちゃんに多いですが、人と同じで何歳になれば発症すると決まっているものではなくその子によるし、進行はゆっくりだったり急に表面的にあらわれてきたりと一定しません。いずれにせよ高齢に伴ってこういう変化が見られる場合は高い可能性で該当します。
確定診断するにはMRIやCTが無い限り難しく、多く状況や症状から判断することになります。
正直、高齢による認知症だと診断したところで治療法はありません。それでも、お話やご相談いただければどういう風に向き合えば良いかお伝えできることがありますし、場合によっては投薬などで落ち着かせることもできます。
是非一度ご相談ください。
———-
【高齢ワンちゃん、ネコちゃん】と題し、幾つかその病気や症状、またその現状を知って頂こうと当エントリを作成しましたが、本当にお伝えしたいことは病気そのもののことではありません。恐らくこれからずっと向き合っていかなければならない高齢ペット医療について、姫路で長年経験し培ってきた当院の現時点でのスタンスを明かしておきたいのです。
何か症状があるけれど、ワンちゃんやネコちゃんが高齢だから何もしないと即断してしまうのは酷なことです。かといって出来ること全部と検査漬けにしてしまうのは、ストレスや時間やお金も掛かりもっと酷です。検査をしなければ何も出来ませんが、検査で分かる限りの全てを知ってしまったところでその全てには対応し切れません。いったい何が出来て、その中でどれを選ぶべきなのか、当院では飼い主様に親身となって考えていきます。